硝子の座席

某若手俳優を推すただのおたく 舞台と読書とゲームが好きなので、その辺りの話多め

【デルフィニア戦記 第一章 】

ついに千秋楽を迎えた今作。というわけで前楽を観てきたことをきっかけに、本公演の感想を自分なりにさらりとまとめます。以下、ネタバレを含みますので、ご注意くださいませ。

 

こういった原作モノの舞台は何と言ってもキャラクターのイメージと役者陣が合っているかということは、とても大きなポイントだと思っているのですが、とにかくウォルとリィがズバ抜けてすごかった。

大柄で黒髪(地毛!)の、しかもおっとりとしつつ真面目そうで、飄々とした印象を与えるウォルを演じる蕨野友也さん。少年からなぜか少女へと変化しており、さらには異世界からやってきた、小柄ながらも力を秘める少女リィを佃井皆美さんがそれぞれ演じています。

この2人は、私の中の声のイメージがとてもぴったりと合っていました。特にリィ。少女と少年の境目をどちらの要素も取り入れつつ演じてくださいました。さらには身のこなしが素晴らしく、動きにキレがあることにより、動と静の表現がはっきりとされていて、観ていてとても気持ちよかったです。

 

そろそろ推しの話も。

ラモナ騎士団の登場シーン。ウォルからリィへと話の中で紹介されるナシアス。台に立ち、そこから台自体が動いて、みんなでダンスが始まります。圭さんダンスが苦手なのに…と思いつつ見守りました。

美技と称されるナシアスの剣技。それを象徴するかのように、彼の剣術は他の者とは違く、フォームとしてはフェンシングをイメージしていただければ。長いマントが戦う時に邪魔になるので、左手はマントの裾を掴んでおり、主に剣を突いて攻撃をしていました。普段、舞台では日本刀を持つことが多い圭さん。フェンシングなんて中々観れないなあと新鮮なお姿に嬉しくなりました。

同じくラモナ騎士団のガレンスとのコンビも、とても楽しく、原作と同じように笑いへと誘ってくれたシーンも何箇所かあり、印象的でもありました。須藤さんと圭さんは何度か共演されており仲良し。それも相まって良いコンビになったのではないでしょうか。やはりバルロがお土産になったシーンは、何度観てもとても楽しかったです。

 

その他、ベテランの俳優陣の演技が本当に素晴らしく、ついつい涙を零してしまうシーンも。どの方も迫力と、魅力があり目はそちらに釘付け。普段若手俳優の出演する舞台ばかり観ているので、味のあるお芝居を観れるのは貴重であり、幸せです。

 

作品の性質上、殺陣が非常に多いお芝居でした。ウォル役の蕨野さん、リィ役の佃井さんはそれぞれ仮面ライダーシリーズにご出演なさっているため、アクションに慣れていらっしゃいます。佃井さんにおかれましては、アクション女優としてご活躍されているので、なおの事です。

また、アンサンブルの方々の大変さは想像を超えているような気がします。11名という人数にも関わらず、敵味方の軍勢を演じ分け、裏では相当な早着替えをしなければならなかったのでは無いでしょうか。

 

役者陣のこともそうですが、今回は舞台セットも大掛かりなものでした。真ん中にある円形の台は場面によってぐるぐると回って展開し、さらには左右の階段は自由自在に動きます。天井からは幕が垂れ下がり、それを上下に動かすことにより上手く場面展開をしていました。そして薄い幕や映像の数々。満開の花々やお城の内装、馬を映像で表現し、さらには透ける薄い幕を使って乗馬を再現したところはとても驚かされました。現代の舞台技術の最先端を使うことによって、よりデルフィニア戦記の世界を表現出来たのだと思います。

 

2時間弱という時間の制約もあり、あらゆる場面を飛ばさなくてはならなかったことは非常に残念でした。少しでも話の流れに直接関係ないところは、ばっさりと切られてしまっていました。舞台という性質上、ポイントポイントを掻い摘んで演じなければキリがないとは思いますが、少しでもご興味を持たれた方は是非とも原作の小説を読んでいただくことをおすすめしたいです。舞台もとても面白かったですが、それ以上に濃厚な世界が貴方を待っています。

 

個人的には3回も観に行くことが出来、初日と前楽を観れたことがとても嬉しかったです。なかなかスケジュールの都合でここまで上手く振り分けられないので、今回そこはとても満足しております。やはり回を重ねるごとに個々の工夫が観られ、生で観ることの楽しさを改めて実感出来ました。原作の小説も、まだ物語の途中を読んでいる最中なので、これからも少しずつ読み進めて行きたいです。第一章と銘打っているくらいなので、きっと第二章が来てくれることを願って今回は終わりとさせて頂きます。

 

次はどんな舞台に足を運べるのでしょうか。楽しみです。